1 夫(妻)が自己破産するときに、妻(夫)はクレジットカードを使い続けられるか
自己破産や個人再生をする場合、申立をする人はクレジットカードを使えなくなります。
一方で、自己破産などをしない配偶者名義のクレジットカードを使い続けて良いかという問題はあります。
2 法律的には、配偶者のクレジットカードは止まらない。
利用が停止されるのは、あくまで自己破産をする本人名義のクレジットカードだけであるため、配偶者名義のカードは使い続けられます。
もっとも、自己破産などの裁判所の手続きとの関係ではいくつか問題があります。
3 配偶者のクレジットカード支払のためにお金を渡すのはNG
旦那さんに「クレジットカードは使わないでください」と案内すると、奥さんのクレジットカードを使って奥さんの口座にお金を振り込む方をよく見かけますが、これはとても危険です。
奥さんのクレジットカードの支払いは、あくまで奥さんの借金であるため、これを旦那さんの給料で払うことは、旦那さんから奥さんに対する贈与になります。
また、奥さんの口座にお金を移して財産隠しをしていると裁判所から指摘されることもあります。
(奥さんに給料があり、給料の範囲で支払うのは問題はないです。)
贈与や財産隠しは、免責不許可事由の一つであり、最悪のケースは自己破産などができなくなります。
4 生活費の支払は本人の給料(口座)から直接支払う
「奥さんにお金を渡さないと、クレジットカード払いにしている光熱費が払えない」というお悩みはあると思います。
その場合は、光熱費の支払い方法を破産などをする本人の口座引落しにするとか、本人名義のデビットカードで支払うようにするなどで対応することができます。
夫婦で収入があり生活費を折半している場合は、配偶者から破産をする本人の口座にお金を入金して対応するのが安全です。
5 クレジットカードを使わないでも生活はできる。
そうはいっても、このネット社会でクレジット決済ができないのは不便です。
もっとも、代わりにデビットカードなどを活用すると意外と不便はしません。
また、ETCも、クレジットカード式のものではなくデポジット式(事前にお金をチャージするタイプ)などで代用できます。
6 そもそもクレジットカードに頼らない生活を
ここからは、法律から離れた話になりますが、夫のものか妻のものかなど関係なく、クレジットカードの利用はやめるべきです。
厳しいことを言うと、破産になる理由は多かれ少なかれ、お金の管理ができなかったことが原因です。
クレジットカードは、使ったあと2ヶ月後に支払ったりリボ払いにできたりとお金の管理が難しく、そこで管理に失敗したことに原因があります。
本人のものではないからとクレジットカードの利用を続けると、結局は同じ失敗を繰り返し、次はありません。
まずはクレジットカードをすっぱり使わないように徹底することが生活再建の第一歩です。
7 弁護士に相談を
生活再建のための家計管理は、正直なところ難しいです。
このあたりは、破産や個人再生をする弁護士であれば慣れているため、弁護士と相談しながら生活を変えていくことをオススメします。