1 ボーナスを使う前に弁護士に相談
たまにご相談いただくのが「ボーナスが入るのですが、ある程度返してから弁護士に依頼すべきですか?」という質問です。
この答えは、絶対に「NO」です。
もちろん、「返せるものは返さないと・・・」というお気持ちは素晴らしいものですし、できる限りのことをしてからでないと自己破産などは認められないのではないかという発想もよくわかります。
しかし、ボーナスで返済をしてしまうことはデメリットだらけです。
2 自己破産では「偏波弁済」として、認められなくなる可能性がある。
自己破産は、「今ある財産は全て借金の返済に回して、返しきれない借金を0円にする」手続きです。
これだけ聞くと「ボーナスで借金を返すべきではないか!」となるのですが、自己破産に置いては「借金を平等に返さなければいけない」というルールがあります。
借金を全額は返しきれないので、残っているお金を金額に応じて平等に返すこととなっており、一部だけ返済をすることは「偏波弁済」として禁止されています。
「偏波弁済」は免責不許可事由にあたり、場合によっては破産そのものができなくなるリスクすらあります。
そのため、ボーナスでいくつか返済できる借金があったとしても、返済はせずに支払いを止めて弁護士に相談した方が安全です。
3 任意整理においては、頭金を求められることがある
裁判所を用いず、分割払い交渉を行うのが任意整理です。
例えば、120万円の借金を2万円×60か月(5年)の分割払いにできることがあります。
しかし、過去の利用状況によっては、頭金の支払を求められることがあり、支払えないと破産をせざるを得ないこともあります。
任意整理では、他の借金を支払うこと自体は禁止されないのですが、弁護士を入れて先延ばしにできる借金を払ってしまい頭金が払えなくなると本末転倒です。
どの借金を支払って、どの借金の支払を止めるかは弁護士が専門的な見地から判断するのが一番安全です。
ボーナスで返済して、預金がすっからかんの状況で相談に来た結果、本来は破産しなくてよかったのに破産となってしまう方もよく見かけます。
ボーナスは使う前に弁護士に相談することをオススメします。
4 ボーナスで弁護士費用を支払う
弁護士費用の分割払いが終わってから自己破産の申立てをするという方針の事務所が多いです。
そのため、自己破産の準備は終わっているのに分割払いが終わっていないから申立てができないという事態に陥りがちです。
そのため、ボーナスで弁護士費用を払ってしまえば、それだけ早く解決をできます。
もちろん、そんなことをしたらボーナスが使えずもったいないと思うかもしれませんが、実はそうではありません。
自己破産の手続き中は浪費は禁止され、返済もないのにボーナスが残っていないと浪費と判断され、自己破産が認められなかったり、認められたとしても使ったボーナスを裁判所に納めるかを求められたりします。
そのため、ボーナスは手を付けずに残しておくしかないのですが、ボーナスは残しておいても、結局は返済に回さなければいけません。
しかし、ボーナスを弁護士費用に充ててしまえば、本来は裁判所に納めるお金で弁護士費用を賄えてしまうので、実質的に弁護士費用が浮くためお得です。
早く申立ができれば、その分だけ早く破産手続きが進み、早く貯金を始められます。
そのため、ボーナスで弁護士費用を払うのが、結果的に一番お得だったりします。