任意整理の場合に減額できる借入

1 任意整理では利息をカットできる可能性がある。

任意整理は、今ある借金を分割払いにすることによって、毎月の支払額を減額する手続きです。

自己破産や個人再生などの裁判所を使う法的整理との対比で、各社と任意の交渉を行うことから任意整理と言われます。

任意整理は、自己破産・個人再生のように借金の減額をすることはできないと言われますが、将来の利息をカットできる可能性があるため、将来の総返済額を減額できます。

任意整理で何が減額できるのかを知るためには、まずは借金の仕組みを理解する必要があります。

2 借金の仕組み

一口に借金といっても、その内訳は元本、利息、遅延損害金等に区別されます。

任意整理においては、以下のように区別しておけば良いかと思います。

①借入元本

借りた借金そのものです。

300万円借りて200万円元本を返したら、残り100万円が借入元本にあたります。

②今までに発生した利息、遅延損害金

借金の支払いを放置してしまうと、利息や遅延損害金が付加されて、借金の総額が増えていきます。

100万円の支払いを3年間放置すると、仮に遅延損害金の利率が15%の場合は、

100万円×15%/年×3年=45万円

の遅延損害金が増えます。

③これから発生する利息、遅延損害金

支払いを毎月しっかりしていても、これからも利息はかかり続けます。

100万円の借金で利率が15%の場合、

100万円×15%/年÷12か月=1万2500円/月

毎月2万円返済しても、7500円が元本の返済に、1万2500円が利息の支払いになります。

3 任意整理における利息カット

任意整理においてカットできる可能性がある利息は、「③ これから発生する利息、遅延損害金」となります。

「借金そのものは減らないか?」という質問をいただくことがありますが、「①借入元本」を減額することは絶対にないと思っていてもよいと思います。

返済を放置して増えてしまった「②今までに発生した利息、遅延損害金」の減額に応じてもらえるケースはほとんどないです。

極めて稀ですが、一括返済の場合に、「②今までに発生した利息、遅延損害金」を減額してもらえる場合があります。

実際の返済額については、弁護士に相談をしてみてください。

4 なぜ利息がカットできるのか

「②今までに発生した利息、遅延損害金」については、借りたお金でもないのに支払わなければいけないことには納得しづらいとは思います。

しかし、利息カットができる理由を考えれば、むしろ支払うのは当たり前です。

そもそも、なぜ利息ができるかというと、お金を借りた側は「借りたお金は利息を付けて返します。」と約束してお金を借りています。

そのため、利息や支払が滞った場合の遅延損害金を支払うのは当たり前です。

しかし、各社も「契約通り耳を揃えて返してください」と一点張りをした結果、破産をされては1円も回収できなくなってしまいます。

そこで、各社は、少しでも返してもらうために利息をカットする代わりに分割返済をしてもらおうとするわけです。

つまり、法律上は、各社は利息をカットする義務は全くなく、あくまで分割払いも利息カットもお金を貸した側が自由に決められるものです。

そのため、「②今までに発生した利息、遅延損害金」についてカットできないのはやむを得ないということになります。

強いて誰に責任があるかと言えば、利息や遅延損害金がかかるのに、契約内容をよく読まずに借りてしまった自分ということになるのでしょうか。