浪費をしたら自己破産はできないか

自己破産は申し立てたら必ず借金がなくなるものではなく、裁判所から「免責許可決定」が出ると初めて借金の支払い義務がなくなります。

そして、自己破産には「免責不許可」という制度があり、浪費やギャンブルなど免責不許可事由がある場合は、免責にならない(=借金の支払い義務がなくならない)ことになっています。

では、浪費をしたらもう借金はなくならないのでしょうか?

破産法における「浪費」は「」といわれています。

世間一般では「無駄遣い」とはまでいえない出費も、「その収入だと贅沢だよね」となってしまえば「浪費」に当たりうるわけです。

例えば、子どもを私立に行かせるための学費はもちろん無駄遣いではないですが、「返すアテもないのに借金をして私立に行かせる」となると「」と言われてしまうわけです。

こういう意味では、破産をしている以上、多かれ少なかれ「」はあるはずです。

(「交通事故で収入がなくなって、最低限の食費もなくて借金した。借金総額は2ヶ月間の生活費で30万円です。」という、絶対に浪費でないケースはほとんどないと思います。)

そのため、何でもかんでも浪費になるわけではなく、毎月の少しの無駄遣いが積み重なって借金が膨れ上がっただけでは、浪費と言われないことも多いです。

免責不許可事由があるとしても、それで借金がなくならないことが確定するわけではありません。

「裁量免責」という制度があり、裁判官の裁量で借金がなくなることがあります。

実際には、免責不許可事由があっても何らかの形で裁量免責になることがほとんどです。

ただし、裁量免責になる場合は、同時廃止ではなく管財事件となることが多いため、予納金として最低でも20万円は用意しなければいけない点は注意が必要です。

1年間で数百万円を浪費してすぐ破産するなど極めて悪質性が高い場合は、裁量免責がもらえない可能性があります。

そういった場合は、浪費した金額全額ではないにしても、ある程度の金額を裁判所に収めて借金の返済を一部でもすることで裁量免責か得られる場合があります。

(借金返済の元手である「破産財団」を増やすため、「財団組入」といわれています。)

「財団組入」するためのお金は、親族から援助を受けたり、破産手続き中に積み立てたりすることが多いです。

極めて悪質性が高く、財団組入するお金も用意できないとなると、いよいよ破産は難しくなります。

もっとも、そういう場合でも個人再生があります。

個人再生は、借金を減額したうえで分割払いする制度です。

極めて悪質性が高い浪費となると、返済額も上乗せされますが、それでも5年間で分割払いがあり得るため、どうにか生活を立て直すことができます。

個人再生を希望する相談者の多くが、「浪費してしまったので破産は無理だと思って…」と言います。

しかし、「浪費=免責不許可」ではなく、簡単にはいかないにしても、弁護士と一緒に手続きを真面目にしっかりやれば、免責になるケースは多いです。

そのため、最初から破産を諦めてしまわずに、まずは弁護士に相談してみましょう。