破産の手続中のギャンブルは弁護士に隠す?

1 破産の手続き中のギャンブル

自己破産は、裁判所に申立てをしたうえで免責許可決定が出ると借金がなくなります。

そして、破産法は「免責不許可事由がなければ免責許可決定を出さなければいけない」という制度になっています。

そして、この免責不許可事由にはギャンブルが含まれます。

これは、破産手続きを始める前のギャンブルですら免責不許可事由であるため、破産手続中のギャンブルが特に厳しくみられるのは当然です。

もっとも、「ギャンブル=免責不許可事由=免責許可決定が出ない=借金がなくならない」とはなりません。

2 破産手続き中のギャンブルのデメリット

破産の審査としては、管財事件と同時廃止事件の2種類があります。

管財事件の場合、裁判所が選任した弁護士である管財人が、破産者の財産を調査したり、過去の経緯から免責を認めてよいか調査したりします。

管財事件のデメリットとして代表的なものは、以下の3つがあります。

①審査が長引く

②管財人との面談、裁判所での債権者集会への出頭が必要になる

③予納金で最低でも20万円支払わなければならない

弁護士の介入後にギャンブルを行った場合は、まず間違いなく管財事件となるため、これらのデメリットが付いてきます。

また、ギャンブルで費消した金額は、本来であれば債権者の返済に回せた金額であるとして、その補填を求められることもあります。

債権者への返済の原資を「破産財団」といい、その補填を「財団組入れ」と言います。

3 ギャンブルをしても免責にはなりうる

破産手続き中のギャンブルは、最悪のケースは免責不許可となりますが、免責になるケースも数多くあります。

特に、

①破産手続への真摯な態度での協力

②速やかな資料提出

③裁判所、管財人からの質問に対する誠実な回答

④財団組入れ

等をしっかりと行えば、むしろ免責不許可となる方が稀です。

逆に、これを怠ると本当に免責不許可になってしまうので、裁判所や弁護士の指示にしっかり従うことが大切です。

4 ギャンブルをしてしまったら、弁護士に話すべきか

これは、「絶対に話すべき」です。

自身が依頼した弁護士は、どうひっくり返っても依頼者の味方です。

破産者の生活指導も弁護士の責務であるため、厳しいことを言うこともありますが、それも結局は破産手続きが速やかに終わるためという依頼者のための助言です。

過ちを犯したとしても、それを真摯に打ち明ければ弁護士は必ず悪いようにはしません。

また、ギャンブルをしたことは、裁判所には絶対にバレます。

裁判所は1年間に何万件もの破産事件を見てきているので、現金でギャンブルをしたとしても、収支が合わなくなるため、確実にバレます。

ギャンブルをしておきながら、それを隠して後でバレると、本当に免責不許可になりかねません。

もし、間違ってギャンブルをしてしまっても、弁護士に相談して、破産が無事に終わるまでの計画を練り直すのが一番良いです。

弁護士との相談の際に準備しておくといいこと

1 弁護士の相談の前に用意はいらない

 弁護士に相談すると言っても、何を用意していけばいいのかわからないという方がほとんどだと思います。

 もちろん、弁護士としては「アレがあった方が良い」「コレがあった方が良い」というのは、思い浮かべればいくらでも出ては来ます。

 しかし、究極は、弁護士の相談の前に何も準備は必要ありません。

 法律的に重要なことと、法律の知識が無い方にとって重要と思うことは、必ずしも一致しません。

 そこで、相談者の様々な話の中から重要なポイントを見抜いて話を整理するのは、弁護士の仕事の一つです。

 法律的に重要なことがあれば、弁護士から質問をしてくれます。

 裏を返せば、特に準備をしなくとも、弁護士が相談に必要な情報があれば質問をします。

2 初回の相談で資料がなくとも大丈夫

 「資料がなければ相談を受けてくれないのではないか」という質問をいただくこともありますが、そんなことはありません。

 もちろん、裁判所は証拠が第一の世界なので、最終的には資料が必要です。

 しかし、当然、弁護士と相談する前にピタリと必要な資料がわかるなんてことはまずありません。

 資料は弁護士と相談する中で集めていくもので、集め方も弁護士からアドバイスできることが多いです。

 まずは弁護士に状況を話してみて、相談の中で弁護士から「こういう資料はありませんか?」「それならこういう資料があると思います。」と言ったように、資料をお願いしていくことになります。

3 なんでも弁護士に話してみる

 事前に調査を良くされている方によくあるパターンが「今回の件には関係ないと思ったから話さなかった。」「話しても証拠がないので勝てないから話さなかった。」というパターンです。

 法律の知識がない方にとって重要ではないと思うことも、弁護士にとっては重要ということは良くあります。

 また、証拠がなくても裁判で有用な情報や、直接的な証拠がなくとも様々な立証手段を弁護士が思いつくこともあります。

 弁護士も何でも予知できるわけではなく、あくまで相談者の話の中からヒントを見つけて発見をしていきます。

 最初から「意味が無いから」と口を閉ざされてしまうと、気づけたはずのものも気づけなくなってしまい、後で「なんでそれを最初に言ってくれなかったんですか!?」なんてこともよくあります。

 関係があるかどうかわからなくとも、まずは弁護士に話をしてみてください。

(関係ない話をすると、「それは関係ないのでもういいです。」とバッサリ切る弁護士もいます。もちろん、その話はもうする必要はありませんが、他の話は関係があるかもしれません。めげずに色々な話をしてみましょう。)

ペアローンの場合の個人再生

1 個人再生とペアローン

個人再生は、自己破産と異なり、住宅ローンが残っている自宅を売却することなく、借金のみを減額できる可能性のある手続です。

これは、個人再生には、住宅資金特別条項という制度が存在し、住宅ローンを今まで通り支払いながら裁判所の手続きを進めることができるためです。

もっとも、全ての住宅ローンが住宅資金特別条項を使えるわけではなく、民事再生法等には様々な条件が定められています。

夫婦がそれぞれ住宅ローンを支払うペアローンは、その条件を満たさない可能性があるため、夫婦の片方が個人再生をする場合は注意が必要です。

2 ペアローンの場合の問題点

住宅資金特別条項は、「自宅を強制売却するより、ローンの支払を続けて自宅を残した方が生活の再建に役立つ」という理由で認められています。

そのため、「個人再生をしても自宅を残せないのであれば、住宅資金特別条項は認めない」という理由で、自宅に個人再生をする人の住宅ローン以外の担保がついている場合は、住宅資金特別条項を利用できません。

例)住宅ローンを組んで自宅を購入した。

その後、クレジットカードの支払いができなくなり、不動産担保ローンを組んでおまとめローンにし、自宅に抵当権を設定した

→この場合は、個人再生をすると不動産担保ローンで設定した抵当権が実行されて自宅が売却されてしまうため、住宅資金特別条項を定めても自宅は残せなくなります。

このような理由から、民事再生法では、「」と定められています。

そうすると、ペアローンの場合、「自宅に他人(配偶者)のローンの抵当権がついている」ということで、住宅資金特別条項が使えなくなってしまうといえ問題点が出てきます。

3 ペアローンがある場合の対応方法

もっとも、配偶者のローンがついていても、直ちに自宅が売却になるわけではありません。

そこで、裁判所の運用として、ペアローンがついていてもいくつか条件を満たせば住宅資金特別条項を定めて、自宅を残して個人再生ができます。

具体的には、

4 自宅にローンが残っている場合は弁護士によく確認を

インターネットで調べると、「個人再生をすれば自宅は確実に残せる」と簡単に考えてしまいがちです。

しかし、ホームページの記事などは、わかり易さを重視して、大事な注意点を省いていることも多々あるものです。

個人再生をしても自宅を残すにはいくつかの条件があります。

手続きを進めたら自宅が残せなくなったとなると大変なので、まずは弁護士にしっかり確認をしましょう。

個人再生で減額されない債権

1 税金など一部の未払金は減額されない

個人再生は、借金を減額した上で3年や5年といった期間かけて分割払いしていく手続きです。

もっとも、全ての借金や未払金が減額されるわけではなく、税金など一部の債権は個人再生をしても減額されることはなく、そのまま支払い続けなければなりません。

民事再生法122条において「一般の先取特権その他一般の優先権」(一般優先債権)は、個人再生を行っても減額されません。

また、抵当権など担保がついている債権は、個人再生をしても担保権の実行をすることができるため、個人再生で減額をする前に債権回収が行われてしまいます。

個人再生で減額されない債権は、一覧にすると以下のとおりです。

一般優先債権

① 担保権のついている債権(民事再生法53条参照)

  例)不動産担保ローン、リース債権等

② 租税等の請求権(国税徴収法8条参照)

  例)市県民税、所得税、国民健康保険料、社会保険料、罰金等

③ 労働債権

  例)個人事業主の従業員の給料

④ 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料の請求権

  例)交通事故の違反金、有罪判決により科された罰金等

⑤ 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

  例)他人を殴った場合の慰謝料、横領した会社の返還請求

⑥ 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

  例)交通事故で怪我を負わせた場合の治療費

⑦ 養育費、婚姻費用、子の扶養義務等

もっとも、細かくみていくと、民事再生法以外の法律も関係してくるため、減額されるのか減額されないのか、弁護士でも判断に困ることもあります。

そこで、以下でいくつかピックアップして細かく説明します。

2 担保権のついている債権

 自宅に抵当権を付けるなどして担保に借入を行った借金は、別除権を有します。(民事再生法53条1項)

 別除権を有する債権は、個人再生の手続中であっても別除権の行使が可能です。(民事再生法53条2項)

 つまり、例えば自宅に抵当権を借りた不動産担保ローンについては、自宅を競売にかけて売却することができ、借金を自宅の売却代金から回収されてしまいます。

 また、リースで購入した自動車については、所有権留保が自動車についているため、自動車は引き揚げられて売却されてしまいます。

 なお、「個人再生において住宅ローンは残せる」とよく言われますが、住宅ローンも別除権付債権にあたり、原則は自宅の競売が可能です。

 しかし、住宅ローンについては特例があり、要件を満たせば例外的に住宅を売却されずに残せることになっています。

3 租税等の請求権

「租税等の請求権」については、「一般優先債権」(民事再生法第122条1項)にあたり、個人再生で減額ができません。

租税というと、いわゆる税金をイメージしますが、税金以外の国民健康保険料や社会保険料なども租税債権に含まれます。

「租税等の請求権」は、「国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」とされています。(破産法97条4号)

国税徴収法では通常の民事訴訟等を経ないで差し押さえをすることができますが、市税や保険料などは、国税徴収法と同じ仕組みで差押等の手続きをすることができます。

つまり、このような仕組みで差押ができる請求権は、「租税等の請求権」として、個人再生を行っても減額できません。

具体的には、市県民税、固定資産税などの市税や国民健康保険料や社会保険料などの保険料が減額できません。

4 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求とは、人を殴った場合の慰謝料など、故意に行った違法行為についての損害賠償を指します。

 ここでいう「悪意」とは法律用語で、言い換えるなら「わざと」という言葉が一番しっくりくるかもしれません。

 「悪気があって」という意味とは少々ニュアンスが違います。

 稀にあるケースとして、借金の返済に困って会社のお金に手を付けてしまった場合などはこれにあたり、個人再生をしても減額することができません。

 また、支払うお金がないからと返さないと刑事事件にされるリスクもあるため、扱いは慎重にならなければいけません。

5 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

 典型例としては、交通事故で相手に怪我をさせた場合の治療費などがこれにあたります。

 「故意又は重大な過失」が条件であるため、裏返すと通常の過失や軽過失により発生した事故によりけがを負わせた場合は、個人再生で減額の対象になる可能性があります。

 もっとも、このようなケースでは被害者側からの強い反対が想定され、個人再生の手続きが難航する恐れがあるため、よく弁護士に相談しましょう。

任意整理の場合に減額できる借入

1 任意整理では利息をカットできる可能性がある。

任意整理は、今ある借金を分割払いにすることによって、毎月の支払額を減額する手続きです。

自己破産や個人再生などの裁判所を使う法的整理との対比で、各社と任意の交渉を行うことから任意整理と言われます。

任意整理は、自己破産・個人再生のように借金の減額をすることはできないと言われますが、将来の利息をカットできる可能性があるため、将来の総返済額を減額できます。

任意整理で何が減額できるのかを知るためには、まずは借金の仕組みを理解する必要があります。

2 借金の仕組み

一口に借金といっても、その内訳は元本、利息、遅延損害金等に区別されます。

任意整理においては、以下のように区別しておけば良いかと思います。

①借入元本

借りた借金そのものです。

300万円借りて200万円元本を返したら、残り100万円が借入元本にあたります。

②今までに発生した利息、遅延損害金

借金の支払いを放置してしまうと、利息や遅延損害金が付加されて、借金の総額が増えていきます。

100万円の支払いを3年間放置すると、仮に遅延損害金の利率が15%の場合は、

100万円×15%/年×3年=45万円

の遅延損害金が増えます。

③これから発生する利息、遅延損害金

支払いを毎月しっかりしていても、これからも利息はかかり続けます。

100万円の借金で利率が15%の場合、

100万円×15%/年÷12か月=1万2500円/月

毎月2万円返済しても、7500円が元本の返済に、1万2500円が利息の支払いになります。

3 任意整理における利息カット

任意整理においてカットできる可能性がある利息は、「③ これから発生する利息、遅延損害金」となります。

「借金そのものは減らないか?」という質問をいただくことがありますが、「①借入元本」を減額することは絶対にないと思っていてもよいと思います。

返済を放置して増えてしまった「②今までに発生した利息、遅延損害金」の減額に応じてもらえるケースはほとんどないです。

極めて稀ですが、一括返済の場合に、「②今までに発生した利息、遅延損害金」を減額してもらえる場合があります。

実際の返済額については、弁護士に相談をしてみてください。

4 なぜ利息がカットできるのか

「②今までに発生した利息、遅延損害金」については、借りたお金でもないのに支払わなければいけないことには納得しづらいとは思います。

しかし、利息カットができる理由を考えれば、むしろ支払うのは当たり前です。

そもそも、なぜ利息ができるかというと、お金を借りた側は「借りたお金は利息を付けて返します。」と約束してお金を借りています。

そのため、利息や支払が滞った場合の遅延損害金を支払うのは当たり前です。

しかし、各社も「契約通り耳を揃えて返してください」と一点張りをした結果、破産をされては1円も回収できなくなってしまいます。

そこで、各社は、少しでも返してもらうために利息をカットする代わりに分割返済をしてもらおうとするわけです。

つまり、法律上は、各社は利息をカットする義務は全くなく、あくまで分割払いも利息カットもお金を貸した側が自由に決められるものです。

そのため、「②今までに発生した利息、遅延損害金」についてカットできないのはやむを得ないということになります。

強いて誰に責任があるかと言えば、利息や遅延損害金がかかるのに、契約内容をよく読まずに借りてしまった自分ということになるのでしょうか。

相続放棄が終わった後の対応

1 相続放棄をするだけでは督促は止まらない

 相続放棄の手続きは、家庭裁判所に申述書を提出し、審査が通れば「相続放棄申述受理通知書」という書類が裁判所から送られてきて終了します。

 もっとも、この手続きで裁判所が行うことは、放棄が認められるかを審査して相続放棄申述受理通知書を発行するのみです。

 裁判所は、相続放棄が完了したことをどこかに通知したりはしてくれません。

 相続放棄が完了すると個人が滞納した税金を支払わなくてよくなりますが、市役所は相続放棄したかどうかを知らないので督促が続いてしまいます。

 また、消費者金融等であれば、そもそも亡くなったことすら知らずに督促を送り続けてしまいます。

 そのため、督促を止めるためには、相続放棄をしただけでは足りず、適切な対応を行う必要があります。

2 督促を止めるためには申述受理通知書を送付する。

 督促を止めるためには、相続放棄が終わったことを伝える必要があります。

 ただ、相続放棄と言っても「遺産は一切受け取らずに放棄したが、家庭裁判所での手続きはやっていない」という方も「相続放棄をした」と言っているパターンもあるため、各社も相続放棄申述受理通知書を見て家庭裁判所での手続きが本当に終わっているかを確認します。

 督促状などが届いている場合は、督促状に記載してある問合せ先に電話してしまい「契約者が亡くなったこと」「相続放棄が完了したこと」の2点を伝えると良いです。

 多くの場合は、「申述受理通知書(もしくは証明書)を送ってください。」と案内されるので、申述受理通知書をコピーして送れば、それ以降の督促は止まってきます。

 なお、ほとんどの場合は「受理通知書」の「コピー」で十分です。

受理証明書という別の書類はありますが、わざわざ取り直す必要はなく、原本を送る必要もほぼありません。

3 裁判所からの手紙が届いたら要注意

 裁判所から手紙が届いたら要注意です。

 訴訟を起こされても、相続放棄が終わっていれば支払義務はなくなるので、裁判所から手紙が届いたからと言って慌てる必要はありません。

 しかし、それは適切な対応をした場合です。

 裁判所への期日呼出を無視してしまうと、訴訟はその時点で終了してしまい全面的な敗訴判決が出てしまいます。

 そして、あとで相続放棄していたことを主張したとしても確定した敗訴判決はひっくり返らないため、せっかく相続放棄をしたのに故人の借金などを支払わなければいけなくなってしまいます。

 そのため、裁判所から手紙が届いたら、すぐに弁護士に相談をしましょう。

4 税金関係は差押えの可能性がある

 税金や国民健康保険料の滞納をした場合、国・市役所側は納税義務者等の財産の差押えが可能なことが多いです。

 これも、差押えをされる前に市役所などに適切に連絡を行っていれば心配はいりません。

 しかし、督促などが届いても放置をしていると預金の差押えなどをされてしまうため、放置だけはしないようにしましょう。

 亡くなった方名義の預金や不動産が差し押さえられること自体は大きな問題ではないですが、相続人の財産を差し押さえられると生活に大きな影響が出ます。

自己破産、個人再生の場合の携帯の端末代

1 自己破産、個人再生では、携帯電話が返却になる可能性がある

スマートフォンを購入したときの端末代は、iPhoneであれば10万~20万することが当たり前ですので、多くの方が分割払いにしていると思います。

この端末代の分割払いは、ローンという形になり、いわば借金です。

自己破産や個人再生をすると、弁護士から手紙(受任通知)を送り全ての借金の支払を止めるので、当然、端末代の分割払いも弁護士が介入してストップします。

そのため、端末代が未払になり、携帯キャリアなどから携帯電話の返却を求められることがあります。

2 端末の分割払いをしているときの対応方法

端末の分割払いをしているときの対応方法としては、以下の2つがあります。

⑴ 携帯電話を返却し、代用の携帯を一括払いで購入する。

携帯電話は返却をしなければいけないため、代用の携帯電話を用意しなければいけません。

しかし、ここで再びローンを組んで分割払いにしてしまっては元の木阿弥です。

大切なのは、現金で一括払いにすることです。

もちろん、新品の最新機種を現金で一括払いをすることは、自己破産をしなければいけない状況では難しいと思います。

しかし、中古の型落機であれば5万円以下でそれほど不便しないものを購入できますので、検討の余地があります。

なお、家族がローンを組んで携帯電を購入することはOKですが、ローンの返済はローンを組んだ本人が行う必要があります。

⑵ 第三者の援助で、端末代の残ローンを一括返済してしまう。

端末代の残っているローンを一括返済してしまえば借金ではなくなるので、現在使っている端末をそのまま残します。

ここで重要なのが、自己破産や個人再生をする本人のお金を絶対に使わないことです。

手続中はあらゆる借金の返済が禁止になるので、最悪の場合、自己破産等が認められない(免責不許可)となる可能性があります。

一方で、親族や友人等の第三者による援助であれば返済はOKなので、端末代だけ支払えるという仕組みです。

なお、援助を組んだ人にお金を渡すと、援助者への返済ということになるのでこれも禁止です。

3 端末代の返済を続けてしまうと

「弁護士に端末の分割払いのことを話すと、携帯が返却になる」ということで、弁護士に端末代のことを隠しておけばいいのかというと、そうではありません。

横浜地方裁判所では、携帯電話の支払について、WEBページのスクリーンショットなどで支払の明細の提出を求められることがあります。

その場合、明細に「端末代」とあると、その時点で裁判所にはバレしまいます。

もし、裁判所に後々見つかった場合は、一部の借金だけ支払っていた(偏波弁済をしていた)ということで免責不許可事由となります。

免責不許可事由がある場合、最悪のケースでは借金がなくなりません(免責不許可)。

また、仮に免責不許可まで行かなくとも、管財事件になるため、裁判所に追加で20万円を予納金として納めた上で、弁護士介入後から現在までに支払った端末代も追加で裁判所に納めなければいけなくなります。(財団組入れ)

リスクしかないので、必ず弁護士に相談しましょう。

相続放棄しても車を処分していいか

1 車の処分は相続放棄ができなくなる可能性がある

民法では、故人の財産を処分すると、単純承認になると定められています。

単純承認をすると、相続する(条文上は「被相続人の権利義務を承継する」)ことになるため、相続放棄ができなくなってしまいます。

そのため、条文を文字通り読めば、車を廃車にするなどしてしまうと相続放棄ができないということになります。

民法902条

 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

民法903条

 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
第1号 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

2 本来は相続財産清算人を立てる

ただし、相続放棄をしたからと言って、放置をしていいかどうかという問題があります。

賃貸の駐車場に停めてある場合は、賃貸人から撤去を強く求められるうえ、賃料がかかり続けます。

民法改正で、相続放棄をすれば「現に占有」をしていない財産であれば管理責任を負わなくなったため、そのまま駐車したままでも賃料の支払義務は負いません。

民法904条 第1項

 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

もっとも、亡くなったのが同居の親で自宅に車の鍵がある場合は「現に占有」していると言えるので、車を移動させない限りは賃料を支払う義務が発生します。

また、駐車場を賃貸しておらず自己所有の駐車場に駐車している場合でも、そのまま置いておくわけにはいきません。

このような場合は、相続財産清算人の選任を裁判所に申立てをし、相続財産清算人に車を処分してもらうというのが民法の建前です。

しかし、相続財産清算人の申立ては、申立ての際の弁護士報酬や裁判所への予納金で数十万円はかかるため、悩ましいところです。

3 車を処分した後の流れ

そこで、頻繁に質問をいただくのが「価値がない車なので、相続放棄の後に処分していいか?」です。

ここについては、「車を処分すると相続放棄できなくなる」とはよく言われているものの、具体的な流れは余り説明がないことも多いです。

相続放棄が裁判所に受理された後に車を処分すると、やはり、単純承認となり、相続放棄は無効となります。

一方で、無効になる場合としては、債権者(故人にお金を貸していた人)などが車が処分されていることに気づいて、相続放棄が無効であることを訴訟で争ってくる場合です。

つまり、債権者が、車が処分されていることに気づかなければ、そのまま問題になることもなく終わってしまう可能性があります。

実際に、貸金業者などは故人が車を所有していたことすら知らないことがほとんどで、仮に知っていたとしても誰が処分したか不明であるため、車を処分されたものの相続放棄できてしまうというケースは多くありそうです。

ただし、だからと言って放棄しても車を処分してもOKとはならず、いつでも相続放棄が無効になるリスクは忘れてはいけないのかとは思います。

まずは弁護士に相談した方が良いでしょう。

ボーナスで借金を支払うべきか

1 ボーナスを使う前に弁護士に相談

たまにご相談いただくのが「ボーナスが入るのですが、ある程度返してから弁護士に依頼すべきですか?」という質問です。

この答えは、絶対に「NO」です。

もちろん、「返せるものは返さないと・・・」というお気持ちは素晴らしいものですし、できる限りのことをしてからでないと自己破産などは認められないのではないかという発想もよくわかります。

しかし、ボーナスで返済をしてしまうことはデメリットだらけです。

2 自己破産では「偏波弁済」として、認められなくなる可能性がある。

自己破産は、「今ある財産は全て借金の返済に回して、返しきれない借金を0円にする」手続きです。

これだけ聞くと「ボーナスで借金を返すべきではないか!となるのですが、自己破産に置いては「借金を平等に返さなければいけない」というルールがあります。

借金を全額は返しきれないので、残っているお金を金額に応じて平等に返すこととなっており、一部だけ返済をすることは「偏波弁済」として禁止されています。

「偏波弁済」は免責不許可事由にあたり、場合によっては破産そのものができなくなるリスクすらあります。

そのため、ボーナスでいくつか返済できる借金があったとしても、返済はせずに支払いを止めて弁護士に相談した方が安全です。

3 任意整理においては、頭金を求められることがある

裁判所を用いず、分割払い交渉を行うのが任意整理です。

例えば、120万円の借金を2万円×60か月(5年)の分割払いにできることがあります。

しかし、過去の利用状況によっては、頭金の支払を求められることがあり、支払えないと破産をせざるを得ないこともあります。

任意整理では、他の借金を支払うこと自体は禁止されないのですが、弁護士を入れて先延ばしにできる借金を払ってしまい頭金が払えなくなると本末転倒です。

どの借金を支払って、どの借金の支払を止めるかは弁護士が専門的な見地から判断するのが一番安全です。

ボーナスで返済して、預金がすっからかんの状況で相談に来た結果、本来は破産しなくてよかったのに破産となってしまう方もよく見かけます。

ボーナスは使う前に弁護士に相談することをオススメします。

4 ボーナスで弁護士費用を支払う

弁護士費用の分割払いが終わってから自己破産の申立てをするという方針の事務所が多いです。

そのため、自己破産の準備は終わっているのに分割払いが終わっていないから申立てができないという事態に陥りがちです。

そのため、ボーナスで弁護士費用を払ってしまえば、それだけ早く解決をできます。

もちろん、そんなことをしたらボーナスが使えずもったいないと思うかもしれませんが、実はそうではありません。

自己破産の手続き中は浪費は禁止され、返済もないのにボーナスが残っていないと浪費と判断され、自己破産が認められなかったり、認められたとしても使ったボーナスを裁判所に納めるかを求められたりします。

そのため、ボーナスは手を付けずに残しておくしかないのですが、ボーナスは残しておいても、結局は返済に回さなければいけません。

しかし、ボーナスを弁護士費用に充ててしまえば、本来は裁判所に納めるお金で弁護士費用を賄えてしまうので、実質的に弁護士費用が浮くためお得です。

早く申立ができれば、その分だけ早く破産手続きが進み、早く貯金を始められます。

そのため、ボーナスで弁護士費用を払うのが、結果的に一番お得だったりします。

個人再生で減額できる金額

1 個人再生とは

個人再生は、借金を減額して3〜5年にかけて分割払いする手続です。

各社と交渉して分割払いにする任意整理との最大の違いは借金そのものを減額できることです。

また、同じ裁判所を通して借金を減らす自己破産との違いは、自宅や車などを売却したりしないで済むことです。

個人再生で借金をいくらに減らせるかは、いくつかルールがあります。

以下で紹介していきます。

2 最低弁済額

個人再生では法律で決められた最低弁済額という基準があります。

最低弁済額は借金の合計額で決まり、次のとおりです。

よくホームページなどで紹介される「借金を最大10分の1にできる」と謳われているのはこちらです。

この金額を3年〜5年にかけて分割するので、難しい法律の知識がなくとも将来の返済額をシミュレーションしやすいです。

100万円未満:全額

100~500万円:100万円

500~1500万円:借金総額の5分の1

1500~3000万円:300万円

3000~5000万円:借金総額の10分の1

例)

300万円

→最低額の100万円

→約1万7000円×60ヶ月(5年)

600万円

→1/5で120万円

→毎月2万円×60ヶ月(5年)

3 清算価値

清算価値とは、簡単に言えば自身の財産を全て売却したときに手元に金額です。

預金、住宅、車、保険契約を解約した際の払戻金、退職金など様々な財産が対象になり、全てを足し合わせて計算します。

そして、小規模個人再生では、清算価値と最低弁済額のうち高い方の金額を返済する必要があります。

弁護士の方で計算してみたら想定外に高額になるケースもありますので注意が必要です。

例)

自宅:売却価格3000万円、住宅ローン2800万円

預金:0円

退職金:400万円

保険解約返戻金:20万円

清算価値

=自宅(3000万円ー2800万円)+退職金400万円×1/8+保険解約返戻金20万円

=270万円

仮に借金が600万円の場合、最低弁済額は120万円となりますが、清算価値270万円の方が高いため、返済額は270万円になります。

これを60回(5年)で返済するので、毎月の返済額は4万5000円となります。

4 詳しくは弁護士に

個人再生の返済額のシミュレーションは、実際には法律のルールがたくさんありかなり複雑です。

詳しくは弁護士に相談して、正確なシミュレーションをすることをお勧めします。

浪費をしたら自己破産はできないか

自己破産は申し立てたら必ず借金がなくなるものではなく、裁判所から「免責許可決定」が出ると初めて借金の支払い義務がなくなります。

そして、自己破産には「免責不許可」という制度があり、浪費やギャンブルなど免責不許可事由がある場合は、免責にならない(=借金の支払い義務がなくならない)ことになっています。

では、浪費をしたらもう借金はなくならないのでしょうか?

破産法における「浪費」は「」といわれています。

世間一般では「無駄遣い」とはまでいえない出費も、「その収入だと贅沢だよね」となってしまえば「浪費」に当たりうるわけです。

例えば、子どもを私立に行かせるための学費はもちろん無駄遣いではないですが、「返すアテもないのに借金をして私立に行かせる」となると「」と言われてしまうわけです。

こういう意味では、破産をしている以上、多かれ少なかれ「」はあるはずです。

(「交通事故で収入がなくなって、最低限の食費もなくて借金した。借金総額は2ヶ月間の生活費で30万円です。」という、絶対に浪費でないケースはほとんどないと思います。)

そのため、何でもかんでも浪費になるわけではなく、毎月の少しの無駄遣いが積み重なって借金が膨れ上がっただけでは、浪費と言われないことも多いです。

免責不許可事由があるとしても、それで借金がなくならないことが確定するわけではありません。

「裁量免責」という制度があり、裁判官の裁量で借金がなくなることがあります。

実際には、免責不許可事由があっても何らかの形で裁量免責になることがほとんどです。

ただし、裁量免責になる場合は、同時廃止ではなく管財事件となることが多いため、予納金として最低でも20万円は用意しなければいけない点は注意が必要です。

1年間で数百万円を浪費してすぐ破産するなど極めて悪質性が高い場合は、裁量免責がもらえない可能性があります。

そういった場合は、浪費した金額全額ではないにしても、ある程度の金額を裁判所に収めて借金の返済を一部でもすることで裁量免責か得られる場合があります。

(借金返済の元手である「破産財団」を増やすため、「財団組入」といわれています。)

「財団組入」するためのお金は、親族から援助を受けたり、破産手続き中に積み立てたりすることが多いです。

極めて悪質性が高く、財団組入するお金も用意できないとなると、いよいよ破産は難しくなります。

もっとも、そういう場合でも個人再生があります。

個人再生は、借金を減額したうえで分割払いする制度です。

極めて悪質性が高い浪費となると、返済額も上乗せされますが、それでも5年間で分割払いがあり得るため、どうにか生活を立て直すことができます。

個人再生を希望する相談者の多くが、「浪費してしまったので破産は無理だと思って…」と言います。

しかし、「浪費=免責不許可」ではなく、簡単にはいかないにしても、弁護士と一緒に手続きを真面目にしっかりやれば、免責になるケースは多いです。

そのため、最初から破産を諦めてしまわずに、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相続放棄を依頼するメリット

1 令和6年の戸籍法改正と相続放棄への影響

令和6年に戸籍法が改正され、一般の方でも戸籍が取りやすくなりました。

今まで、戸籍は本籍地のある市役所でしか取得することができませんでした。

本籍地は引越しをしても変わらないため、例えば、東京都に住んでいても本籍は実家のある福島にあるということは良くあります。

こうした場合は、戸籍法の改正前は、福島の市役所に戸籍を取りに行くか、郵送で戸籍を取りに行く必要がありました。

しかし、戸籍法の改正により、どこの市役所でも戸籍を取得することができるようになりました。

相続放棄においては遠隔地の戸籍取得の難しさが、自身で相続放棄をするハードルの一つであったため、戸籍法改正により相続放棄を自身でやるハードルは下がりました。

2 兄弟姉妹、叔父叔母の戸籍は取れない

もっとも、戸籍法改正で相続放棄における弁護士の役割がなくなったわけではありません。

戸籍を取得できるのは、以下の関係の人です。

〇本人
〇配偶者
〇父母、祖父母など(直系尊属)
〇子、孫など(直系卑属)

つまり、兄弟姉妹、叔父叔母の戸籍は取ることができません。

亡くなった人に子供がおらず(相続放棄した場合も含む)、両親もなくなっている場合は、その人の兄弟姉妹や甥姪まで相続人になってしまいます。

そのため、こういったケースではいまだに自身で戸籍を取寄せるのは困難であるため、専門家に依頼する必要があり得ます。

3 相続放棄は、裁判所の手続き以外にもやることが多い

相続放棄は裁判所の手続きだけやれば完全解決というわけではありません。

亡くなった人の部屋の片づけ、遺品整理、携帯や公共料金等の契約内容の変更、車の処分、葬儀費用の支払いなどをしてしまうと相続放棄ができなくなる可能性があります。

一方で、これらを全て放置すると、亡くなった人の自宅の大家から問い合わせがあったり、車の移動を求められたりと対応の依頼が殺到します。

法律上は放置しても問題ない場合もありますが、相手は法律の専門家ではないため

「相続放棄といっても、こちらは部屋を片付けてもらわないと困るんだ!どうにかしろ!」

と問い合わせが止まらないことも多々あります。

また、相続放棄をしても管理責任が残る場合もあるため、相続放棄をしても放置できないこともあります。

そのため、相続放棄は裁判所の手続きさえ終われば完全解決、となることは稀です。

戸籍が取りやすくなったからと言って、安易に自分で相続放棄をしようとは思わず、やはり弁護士に相談するのが良いでしょう。

相続財産清算人を立てるべきか

1 相続財産清算人とは

相続人全員が相続放棄をすると相続人が不存在となり、亡くなった人が持っていた財産や借金は行き場がなくなります。

行き場がなくなった遺産は、国庫に帰属する、つまり国のものになるわけですが、自動的に国のものになるわけではなく家を売却したり、預金を払い戻したり、株式を売却したりといった現金に換えるための手続きが必要になります。

この手続きを行うのが相続財産清算人で、裁判所が選任します。

2 相続財産清算人の申立てをするべきか

相続財産清算人は必須というわけではなく、誰かが相続財産清算人の申立てを裁判所に申立てしないと選ばれないため、相続人全員が相続放棄をした後でも相続財産清算人は選ばれないままになっているケースがほとんどです。

また、相続放棄をした人も相続財産清算人の申立てをする義務はないため、必要がなければ相続財産清算人の申立てをしなくても問題はありません。

相続財産清算人の申立ては、申立の手続きを依頼する弁護士の費用や裁判所の予納金などで最低でも数十万円はかかるため、必要がなければしない方が良いでしょう。

相続財産清算人の申立ては、法定相続人以外にも利害関係人でもできるため、「相続財産清算人が必要な人が申立てをする」というイメージです。

では、どのような場合に相続財産清算人が必要になるかをいくつか紹介していこうと思います。

3 ケース① 空き家がある場合

亡くなった人の自宅など空き家があると、老朽化により家屋の倒壊、塀が崩れる、瓦が飛ぶなど様々な問題が起こります。

放置すると、実際に通行人が怪我をしたり、隣家が損傷したりといったことも起こります。

相続放棄をした人は現に占有している財産について管理責任を負うため、空き家の管理を怠った結果として通行人が怪我をしたら、その治療費を支払わなければいけなくなる可能性もあります。

しかし、相続放棄をしてしまうと空家の取り壊しをする権限もなくなってしまうため、空き家に手を付けられなくなります。

こういったケースで相続財産清算人が必要となり、相続財産清算人が空き家を売却したり取り壊しをしたり手配をすることになります。

逆に、空き家の管理責任を問われないようなケースでは、相続放棄をした人としては相続財産清算人を立てるメリットがないため、あえて相続財産清算人の申立てをする必要はなくなります。

空き家の管理責任を問われないケースとしては、

・空き家を元々管理していないケース

・そもそも家屋がなく、売れない山や畑しかないケース

がありえます。

4 ケース②亡くなった人が賃貸をしていた場合

亡くなった人が建物を借りていた場合、本来であれば相続人が賃貸借契約を解除して退去の手続きをしなければいけません。

しかし、相続放棄をするとその権限もなくなってしまうため、手を付けられなくなってしまいます。

個人の自宅マンション程度であればなぁなぁでどうにかなってしまうこともなくはないですが、亡くなった人が事業を営んでいて、テナントや工場を借りている場合にはそうもいきません。

放置した結果として貸主が次の人に貸せない間にかかった家賃や、テナントに放置していた財産を持って行かれたりしてしまった場合には、家賃や持って行かれた財産を損害として弁償する可能性も出てきます。

(往々にして「相続放棄をする=借金超過」の状況なので、本来は破産すべき場合が多く、亡くなった人の財産をお金を貸した人が持って行ってしまうということも珍しくありません。)

5 ケース③自宅が亡くなった人の名義の場合

自宅が亡くなった人の名義だが、借金が多く、家を相続しても借金が払いきれない場合は相続放棄をすることがほとんどです。(例外的に限定承認という手段はあります。)

相続放棄をすると、当然、家を出ていかなければいけないのですが、上手く行けば相続財産清算人を立てることで家に住み続けられるケースもあります。

相続財産清算人は、家を第三者に売却してその売却代金を残った借金の返済に充てることになるのですが、相続放棄をした後で、第三者として相続財産清算人から家を買い取ることができる可能性があります。

特に、亡くなった人が家の一部の権利だけを持っている場合は、相続財産清算人としても売却が困難なため狙い目です。

6 弁護士に相談を

相続財産清算人が必要なケースは他にも色々と考えられます。

相続財産清算人の申立てをすべきかは判断は、法律面でのメリットデメリットをよく考えなければいけないため、弁護士に相談した方が良いでしょう。

証拠がないのは有利か不利か

1 裁判における証拠の意味

自己破産や相続放棄の法律相談をしていると、よく相談者から「証拠がないから大丈夫ですよね?」と聞かれることがあります。

ここで大事なのが、証拠がないことがこちらに有利ならいいのですが、証拠がないことがこちらに不利に働く場面もあるということです。

民事訴訟においては、「言った言わない」で揉めないために、紙の証拠が極めて重要視されます。

もちろんドラマのように証人が証言台に立って証言をすることはあり、証言も証拠としての意味はあります。

しかし、裁判の結論は紙の証拠でほぼ決まり、証人尋問で結論が変わることはないと言われるくらい、紙の証拠が重要です。

そして、証拠がなく真実がどちらか不明な場合でも裁判官は判決を出さなければいけないため、「立証責任」という考え方が取られています。

「立証責任」とは、当事者のどちらか一方が証拠を提出して立証する責任を負い、証拠がなければ(立証できなければ)その事実は存在しないものとして扱うというルールです。

誤解を恐れず言えば、証拠がなければ裁判に負けるということです。

そして、証拠を提出する責任ない側は、仮に証拠を持っていても提出する必要はありません。

本当にお金を貸していても借用書がなければ、お金を貸した事実は存在しないことになってしまうのです。

2 証拠がないことが有利/不利になる場面

訴訟において証拠は立証責任を負う側が提出すればいいため、要は自分に不利な証拠は出さなくてよいわけです。

そのため、証拠がないことは、次のような具体的なケースで意味を持ちます。

⑴ 相続放棄をする場合

相続放棄においては、部屋の片づけをしてしまったり、財産処分をしてしまったりすると相続放棄が無効となってしまいます。

しかし、部屋を片付けてしまったとしても、部屋に何があったかの写真は誰も持っていないため片付けをした証拠が出てくる可能性は低いです。

つまり、証拠がない以上は、片付けをしたことは存在しないことになるため、相続放棄が無効になる可能性は低く、相続放棄をした人にとっては有利になります。

一方で、亡くなった人の預金を下ろしてしまった場合、預金の履歴は第三者でも取得できるため、預金を下ろした証拠は出てきます。

亡くなった人が預金を下ろせるわけはないため、預金を下ろした人は無くなった人の遺族とすぐにわかるため、相続放棄した遺族側としては「預金を下ろしたのは自分ではない」ことの証拠を提出する責任を負い、証拠を出さなければ相続放棄が無効になってしまいます。

そのため、亡くなった人の預金を下ろした場合は、「預金を下ろしたのは自分ではない」ことの証拠を出せないと、遺族としては不利になってしまうわけです。

このように、ケースによって、証拠がないことは有利にも不利にもなります。

⑵自己破産をする場合

自己破産をする場合、自分のお金と言えど浪費してしまうと、免責不許可(借金の支払義務がなくならないこと)となってしまいます。

お金の使った場合は、領収書など、浪費と疑われないような証拠を残しておく必要があります。

自己破産の手続きは通常の訴訟手続きとは違いますが、立証責任の考え方は当てはまるもので、証拠を提出する責任は破産者にあるということになります。

そして、お金の使い道の証拠をちゃんと示せないと、浪費したものと同視されて、免責不許可となったり財産組入(裁判所への弁償のようなもの)を求められることもあります。

このように、証拠がないことは一概に有利不利が決まる話ではないため、「証拠がないから大丈夫」「証拠がないから不安」と決めつけず、弁護士に相談してみましょう。

自己破産、個人再生における夫婦のクレジットカード

1 夫(妻)が自己破産するときに、妻(夫)はクレジットカードを使い続けられるか

 自己破産や個人再生をする場合、申立をする人はクレジットカードを使えなくなります。

 一方で、自己破産などをしない配偶者名義のクレジットカードを使い続けて良いかという問題はあります。

2 法律的には、配偶者のクレジットカードは止まらない。

 利用が停止されるのは、あくまで自己破産をする本人名義のクレジットカードだけであるため、配偶者名義のカードは使い続けられます。

 もっとも、自己破産などの裁判所の手続きとの関係ではいくつか問題があります。

3 配偶者のクレジットカード支払のためにお金を渡すのはNG

 奥さんのクレジットカードの支払いは、あくまで奥さんの借金であるため、これを旦那さんの給料で払うことは、旦那さんから奥さんに対する贈与になります。

 また、奥さんの口座にお金を移して財産隠しをしていると裁判所から指摘されることもあります。

(奥さんに給料があり、給料の範囲で支払うのは問題はないです。)

4 生活費の支払は本人の給料(口座)から直接支払う

 「奥さんにお金を渡さないと、クレジットカード払いにしている光熱費が払えない」というお悩みはあると思います。

 夫婦で収入があり生活費を折半している場合は、配偶者から破産をする本人の口座にお金を入金して対応するのが安全です。

5 クレジットカードを使わないでも生活はできる。

 そうはいっても、このネット社会でクレジット決済ができないのは不便です。

 もっとも、代わりにデビットカードなどを活用すると意外と不便はしません。

 また、ETCも、クレジットカード式のものではなくデポジット式(事前にお金をチャージするタイプ)などで代用できます。

6 そもそもクレジットカードに頼らない生活を

 ここからは、法律から離れた話になりますが、夫のものか妻のものかなど関係なく、クレジットカードの利用はやめるべきです。

 厳しいことを言うと、破産になる理由は多かれ少なかれ、お金の管理ができなかったことが原因です。

 クレジットカードは、使ったあと2ヶ月後に支払ったりリボ払いにできたりとお金の管理が難しく、そこで管理に失敗したことに原因があります。

 本人のものではないからとクレジットカードの利用を続けると、結局は同じ失敗を繰り返し、次はありません。

 まずはクレジットカードをすっぱり使わないように徹底することが生活再建の第一歩です。

7 弁護士に相談を

 生活再建のための家計管理は、正直なところ難しいです。

 このあたりは、破産や個人再生をする弁護士であれば慣れているため、弁護士と相談しながら生活を変えていくことをオススメします。

個人再生で減額できない債権

1 税金など一部の未払金は減額されない

個人再生は、借金を減額した上で3年や5年といった期間かけて分割払いしていく手続きです。

もっとも、全ての借金や未払金が減額されるわけではなく、税金など一部の債権は個人再生をしても減額されることはなく、そのまま支払い続けなければなりません。

民事再生法122条において「一般の先取特権その他一般の優先権」(一般優先債権)は、個人再生を行っても減額されません。

また、抵当権など担保がついている債権は、個人再生をしても担保権の実行をすることができるため、個人再生で減額をする前に債権回収が行われてしまいます。

個人再生で減額されない債権は、一覧にすると以下のとおりです。

もっとも、細かくみていくと、民事再生法以外の法律も関係してくるため、減額されるのか減額されないのか、弁護士でも判断に困ることもあります。

そこで、以下でいくつかピックアップして細かく説明します。

2 担保権のついている債権

 自宅に抵当権を付けるなどして担保に借入を行った借金は、別除権を有します。(民事再生法53条1項)

 別除権を有する債権は、個人再生の手続中であっても別除権の行使が可能です。(民事再生法53条2項)

 つまり、例えば自宅に抵当権を借りた不動産担保ローンについては、自宅を競売にかけて売却することができ、借金を自宅の売却代金から回収されてしまいます。

 また、リースで購入した自動車については、所有権留保が自動車についているため、自動車は引き揚げられて売却されてしまいます。

 なお、「個人再生において住宅ローンは残せる」とよく言われますが、住宅ローンも別除権付債権にあたり、原則は自宅の競売が可能です。

 しかし、住宅ローンについては特例があり、要件を満たせば例外的に住宅を売却されずに残せることになっています。

3 租税等の請求権

「租税等の請求権」については、「一般優先債権」(民事再生法第122条1項)にあたり、個人再生で減額ができません。

租税というと、いわゆる税金をイメージしますが、税金以外の国民健康保険料や社会保険料なども租税債権に含まれます。

「租税等の請求権」は、「国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」とされています。(破産法97条4号)

国税徴収法では通常の民事訴訟等を経ないで差し押さえをすることができますが、市税や保険料などは、国税徴収法と同じ仕組みで差押等の手続きをすることができます。

つまり、このような仕組みで差押ができる請求権は、「租税等の請求権」として、個人再生を行っても減額できません。

具体的には、市県民税、固定資産税などの市税や国民健康保険料や社会保険料などの保険料が減額できません。

4 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求とは、人を殴った場合の慰謝料など、故意に行った違法行為についての損害賠償を指します。

 ここでいう「悪意」とは法律用語で、言い換えるなら「わざと」という言葉が一番しっくりくるかもしれません。

 「悪気があって」という意味とは少々ニュアンスが違います。

 稀にあるケースとして、借金の返済に困って会社のお金に手を付けてしまった場合などはこれにあたり、個人再生をしても減額することができません。

 また、支払うお金がないからと返さないと刑事事件にされるリスクもあるため、扱いは慎重にならなければいけません。

5 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

 典型例としては、交通事故で相手に怪我をさせた場合の治療費などがこれにあたります。

 「故意又は重大な過失」が条件であるため、裏返すと通常の過失や軽過失により発生した事故によりけがを負わせた場合は、個人再生で減額の対象になる可能性があります。

 もっとも、このようなケースでは被害者側からの強い反対が想定され、個人再生の手続きが難航する恐れがあるため、よく弁護士に相談しましょう。

6 まずは弁護士に相談

以上を見ていくとわかるように、どれが減額できてどれが減額できないかは、個別に見ていくとかなり専門的な内容です。

もっとも、減額できると思っていたものが減額できないとすると将来の返済計画が大きく崩れます。

そのため、不安がある場合は、まずは弁護士に相談しましょう。

相続放棄にかかる費用

1 費用の種類

相続放棄では、次のような種類の費用がかかります。

・収入印紙:800円

・予納郵券:約500円

・郵便切手代:数百円~数千円

・定額小為替:300円~750円×戸籍等の枚数

・弁護士費用等:2万円~

以下で、詳細を説明します。

2 収入印紙:800円

相続放棄の申立書には、収入印紙800円を貼る必要があります。

申立書は相続人の人数分だけ用意する必要があるため、子供2人が相続放棄する場合は、800円×2人=1600円必要になります。

3 予納郵券:約500円

相続放棄の申立書には、未使用の郵便切手をつける必要があります。

裁判所は、申述人から提出された切手を使って、様々な書類の郵送をします。

切手の金額と枚数は、裁判所ごとに違うことがあり、随時金額も変更されるため、申し立てる前に裁判所のホームページで確認する必要があります。

東海市を管轄する名古屋家庭裁判所半田支部では、現在時点では、84円切手×5枚が必要になります。

予納郵券は、相続人の人数分用意する必要になることがほとんどです。

4 郵便切手代:数百円~数千円

相続放棄の申述書は、裁判所に持参することもできますが、郵送することもできます。

郵送の場合は、その分の切手代がかかります。

紛失してしまうと一大事のため、念のため簡易書留等を利用した方がいいため、500円程度はかかります。

また、相続放棄をする際は、戸籍や住民票が必要になります。

必要な戸籍等については、以下のとおりです。

戸籍や住民票は、窓口で発行ができますが、遠方の市役所で取得しなければいけない場合は郵送で申請書を送り、郵送で戸籍等を送ってもらいます。

往復の切手代がかかるため、1通取得するのに数百円~1000円程度かかります。

5通取寄せると、3000円程度は見ておいた方が良いでしょう。

5 定額小為替:300円~750円×戸籍等の枚数

相続放棄をする際は、戸籍や住民票が必要になり、手数料がかかります。

発行手数料は市役所ごとに違いますが、

住民票:200~400円

戸籍謄本:450円

除籍謄本:750円

の市役所・区役所がほとんどです。

相続放棄で必要になる戸籍は以下のとおりです。

なお、相続関係によって、追加で戸籍謄本等が必要になることがあるので、正確には専門家に相談することをお勧めします。

⑴ 子供が放棄をする場合

・被相続人の除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

⑵ 孫が相続放棄する場合

・被相続人の除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

・被相続人の子(相続人の親)の死亡の記載のある戸除籍謄本

⑶ 親が相続放棄する場合

・被相続人の出生~死亡までの全ての戸除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

・被相続人の子の死亡の記載のある戸除籍謄本

⑷ 祖父母が相続放棄する場合

・被相続人の出生~死亡までの全ての戸除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

・被相続人の子の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の両親の死亡の記載のある戸除籍謄本

⑸ 兄弟姉妹が相続放棄する場合

・被相続人の出生~死亡までの全ての戸除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

・被相続人の子の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の両親の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の祖父母の死亡の記載のある戸除籍謄本

⑹ 甥姪が相続放棄する場合

・被相続人の出生~死亡までの全ての戸除籍謄本

・被相続人の住民票除票

・相続人の戸籍謄本

・被相続人の子の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の両親の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の祖父母の死亡の記載のある戸除籍謄本

・被相続人の兄弟姉妹(相続人の親)の死亡の記載のある戸除籍謄本

6 弁護士費用等:2万円~

相続放棄を弁護士等の専門家に依頼する場合は、上記のような経費とは別に専門家の費用が掛かります。

相続放棄を依頼する専門家としては、弁護士と司法書士が挙げられますが、料金はほぼ変わらないことが多いです。

料金は事務所ごとにバラバラであるため、よく比較した方が良いですが、相続人1人あたり2万円~10万円程度のことが多いです。

また、相続放棄の料金は、相続関係の複雑さやサービス内容によって変わってくるため、単に値段で比較するので、なにをどこまでやってくれるかを良く確認した方が良いでしょう。

例えば、司法書士は書類を作ることしかできず、裁判所や借金の取立に対する窓口にはなれないため、裁判所からの質問があった場合や借金の取立てがあった場合の対応は自分でやることになります。

一方で、弁護士は代理人となれるため、裁判所や借金の取立に対する窓口などまで任せることができます。

自己破産をすると勤務先にバレるか?

1 勤務先にバレないことが多い

自己破産をしても、勤務先に連絡は必須ではないため、バレないことが多いです。

もっとも、以下のパターンでは勤務先に自己破産の手続き中であることが伝わってしまう可能性があります。

以下で、詳しく説明します。

2 ①給料の差押えがされた場合

借金を支払わないまま放置しておくと、訴訟や支払督促などの法的手続きを取られます。

そして、裁判所からの呼出等を放置したり、裁判所において分割払いの合意ができなかったりすると、債務名義を取られてしまいます。

給料の差押えは、自己破産でなくとも任意整理(借金の分割払い交渉)でも発生する可能性のある話ですが、自己破産の場合は、

の2点から、早期に分割払いの和解をして差し押さえを止めることができないため、リスクが高くなりがちです。

3 ②勤務先に借金がある場合

勤務先から給料を前借している場合や、社長から借金をして毎月の給与から天引きをしていることはよくあると思います。

自己破産の場合は、借金の支払いを全て止めなければならず、貸金業者には返済せず勤務先だけに返済を継続するということになると、「偏波弁済(へんぱべんさい)」にあたり免責不許可事由として破産ができなくなる一因となってしまいます。

そのため、勤務先に

を説明しなければいけないため、勤務先に自己破産をしていることがバレることにはなってしまいます。

差押えは、破産の申立てをすれば止められるため、対策としては、できる限り早く破産の申立ての準備を終わらせることになります。

4 ③退職金額の証明書を発行依頼する場合

自己破産の手続きにおいては、現在退職した場合の退職金の金額を裁判所に報告する必要があります。

大企業の場合は、人事システムが整備されており、社員がいつでもアクセスして退職金額を調べることができる場合もあります。

しかし、大半の企業ではそこまでシステムが整備されていることは珍しく、退職金額を確認するには、人事部などに問い合わせをしなければいけないことが多々あります。

具体的には、退職金額の報告方法は以下のとおりです。

a.b.d.の場合は、勤務先に必ずしも破産のことを話す必要がありません。

特に注意が必要なのが、退職金がなくとも「退職金がないことを証明する資料」は提出しなければいけないことです。

ご自身のケースで、会社への問合せが必要かは、弁護士に確認をした方が良いでしょう。

相続放棄の延期(期間伸長)をすべきか

1 相続放棄の3か月の期限は延長できる。

相続放棄は、原則、死亡を知った時から3か月以内に裁判所に申立てを行う必要がありますが、この3か月の期限は延長することができます。

正式には、相続放棄の承認又は放棄の期間伸長申立てといいます。

延長できる期限は、裁判所ごとに違いがありますが、一般的には、3か月間延長しそれでも足りなかったら再度3か月延長の申請をします。

2 相続放棄の期限を延長するには、調査に時間がかかるなどの理由がいる。

相続放棄の期間伸長は、「相続すべきか、相続放棄をすべきかを決めるのに時間が足りない」という理由があって初めて認められます。

特に理由のない期間伸長の申立ては却下されるため、注意が必要です。

一般的なケースとしては、次のような場合です。

このケースの場合は、借金の調査が3か月で終わらなかったので、延長を求めるということになります。

逆に、特にこれ以上調査をすべきこともないとか、何の調査もしないまま、期限を延長したいと言っても却下されるでしょう。

(相続人には、財産調査をする権利があります。)

3 相続放棄の期限は、無制限に延長できるわけではない。

相続放棄の期限は、何回でもいつまでも延長できるわけではありません。

理由としては、借金を請求する立場の人からすれば、相続放棄の期限が延期されている間はいつまで経っても借金の請求ができないという不安定な状況になってしまうためです。

そこで、期限の延期は裁判所が許可した場合しか認められず、理由がなければ却下されます。

もっとも、1回目の延期(3か月→6か月)は比較的緩やかに認められます。

一方で、2回目以降(6か月以上)に延ばすためには、1回目の期限延長の間(3か月~6か月)にどのような調査を行って、どこまで調査が終わり、これからどのような調査を何か月かけて行うかを詳細に報告しなければいけません。

何も調査をせず6か月が経過してしまった場合は、延長が却下されることもありうるため注意が必要です。

4 「相続放棄が間に合わないから、期限を延期する」という選択肢は存在しない。

相続放棄の申立ては、戸籍を集めたりしなければいけないため、急いでも申立まで1~2か月程度かかることがあります。

そのため、「相続放棄の手続きが間に合わないから、期限の延期をしたい」という相談を良くいただくのですが、それは無理です。

なぜなら、相続放棄の期間伸長に必要な書類は相続放棄と全く同じで、期間伸長の理由説明をしなければいけない分、むしろ期間伸長の申立ての方が手間がかかります。

そのため、「相続放棄の手続きが間に合わない」=「期間伸長の申立ても間に合わない」となってしまいます。

「調査をしないと放棄するか決められない」という状況でなければ、期間伸長はせずに、相続をするか放棄をするかを決めて申立てをしてしまった方が良いケースがほとんどです。

相続放棄をすべきかは、弁護士によく相談しましょう。

自己破産と個人再生における家計簿の作り方

1 自己破産や個人再生では、家計簿を作る必要がある。

 自己破産と個人再生は、裁判所を利用して借金を減らす手続きですが、お金を貸した人は借金が返ってこなくなるという極めて重大な不利益があるため、審査は厳格に行われます。

 裁判所の審査の一つとして、家計簿を作成して裁判所に提出する必要があります。

 裁判所は家計簿を見ることで

① 浪費などがなくなり、生活が改善されているか

② 自己破産等が終わった後に、借金をせずやっていけるか(経済的に立ち直れるか)

③ 毎月の安定した返済が可能か(個人再生のみ)

等を審査します。

 以下で、家計簿の作り方や注意点を紹介します。

2 家計簿は、同居の家族全員分の物が必要

 家計簿は、自己破産等をする本人だけでなく、夫や妻、子供、親などの同居してる家族全員分の収支をまとめる必要があります。

 また、籍を入れていない、いわゆる内縁関係の配偶者や同棲している交際相手も家計簿の対象になります。

 以下で説明しますが、同居人の通帳・給与明細・領収書などを裁判所に提出する必要があるため、同居人に自己破産をすることを伝えて協力を貰う必要があります。

 なお、成人した子供が、家賃代わりに生活費を親に支払っており、それ以外の自分の給料は全て自身で使用している場合などは、家計が別ということで通帳等の提出が必要ない場合もあり得ます。

 もっとも、そのような場合でも、裁判官次第で提出を求められることもあるため、基本は協力は必要と腹積もりをしておいた方が良いです。

3 家計簿のまとめ方

 家計簿は、1か月の収入や出費を1枚の紙にまとめます。

 用紙をみればわかりますが、収入については

給料(申立人) 35万円

給料(配偶者) 10万円

給料(長男) 20万円

当月収入計 65万円

といったようにまとめます。 

また、出費も、食費、家賃など、項目別に1か月分をまとめて記載します。

収入や家賃、水道光熱費などは1円単位で正確に記入する必要がありますが、食費や日用品などは概算でも大丈夫です。

4 家計簿につける資料

家計簿には、セットで資料をつける必要があります。

必要になる資料は、以下のとおりです。

① 通帳のコピー(該当する月のページ、同居人全員分)

② 給与明細(同居人全員分)

③ 児童手当、年金などの受給金額がわかる資料(ハガキや受給証明など)

④ その他、収入の明細がわかる資料(個人事業主の場合、請求書や領収書など)

⑤ 家賃、水道光熱費、保険料などの領収書

⑥ 1万円を超えるような高額な出費の領収書

⑦ ATMでおろした現金の使用した内訳のメモ等

5 家計簿が必要な期間

 家計簿は、もっとも少なければ1か月分、多いと1年間毎月作成する必要があります。

 手続きの内容によって変わってきます。

 具体的には、以下のとおりです。

① 自己破産の同時廃止事件

 申立ての前月、もしくは前々月の家計簿1か月が必要になります。

(7月申立てなら、5月分か6月分の家計簿を提出)

 申立て後は、家計簿の提出は必要ありません。

② 自己破産の管財事件の場合

 申立ての前月、もしくは前々月の家計簿1か月が必要になります。

 また、申立て後、開始決定もしくは初回の管財人面談までの家計簿(追加で1~3か月分くらい)は提出が必要になります。

 また、裁判所などの指示により、さらに追加で必要な場合もあります。

③ 個人再生の場合

 申立て前3か月分の家計簿1か月が必要になります。

(7月申立てなら、4~6月分)

 また、申立て後、返済の練習(履行テスト)を3か月行う必要があり、その期間は家計簿の提出が必要になります。

6 とりあえず弁護士に相談

 裁判所の求める家計簿は少々特殊で、慣れないと作成に戸惑うことがほとんどです。

 また、家計簿の内容も家族ごとに注意点が様々です。

 何はともあれ、弁護士に相談して、自分の場合はどのようなところに注意すればいいかを質問するのがいいでしょう。