【戸籍法改正】戸籍に読み仮名を記載することの意味

1 名前の読み方は、法律で決められていない

戸籍に読み仮名を振ることについて、2023年の戸籍法改正を目指して法制審議会で中間試案が取りまとめられました。

そもそも、あまり知られていないのが、名前の読み方は、戸籍では管理されていません。

出生届には読み仮名を記載しますが、それを戸籍を作るときには載せていないのです。

そのため、突然、明日から違う読み方で名乗りだしても、法律的には問題はありません。

稀に、「謙太(ケンダイ)」と難しい読み方をする人で、市役所や銀行などへは「謙太(ケンタ)」と簡単な読み方で届出をしている人はいます。

今回は、マイナンバーカードの普及にあわせて、読み仮名を戸籍に記載するように変更しようというものです。

相続事件では、弁護士は必ず戸籍を見るのですが、昔の人の名前の読み方が資料からは一切わからず依頼者の方に確認をするということはよくあります。

2 読み仮名が決められることと相続との関係

銀行などは、口座情報の管理に名前の読み仮名も使用しています。

そのため、死亡した人の口座番号がわからず調査をするときは、名前の読み仮名で検索をします。

たとえば、「田中 謙太(タナカ ケンダイ)」という人であれば、「タナカ ケンダイ」名義の口座を調査します。

しかし、仮に、「タナカ ケンタ」名義で口座を作っていた場合、「タナカ ケンダイ」で調査をかけても見落としてしまうことが有ります。

このあたりは、銀行の担当者が上手に対応してくれることは多いです。

遺産分割協議を終えてから、新たに見落としていた口座が見つかると、また一から遺産分割協議をやり直しになってしまうため大変です。

戸籍で読み仮名が決められると、他の読み仮名で登録した口座があっても調査をしなくなり見落としが生じやすくはなってくるかもしれません。

3 その他の問題点

実際のところ、世間的に一番関心があるのは、どこまで突飛な読み方(俗に言う「キラキラネーム」)を認めるかです。

中間試案では

・どんな読み方でも認める

・使用している漢字と関連性のある読み方だけ認める

などあるようですが、このあたりは、今後の議論で決まっていくようです。