コロナウイルスに関して緊迫した情勢が続く昨今,もし自分が感染したら,ということはどうしても考えてしまいます。
特に,自分がいなくなった後,家族はどうなるのかという心配は絶えません。
もしもの時に備えて,この機会に遺言を作ろうとお考えの方も増えてきているとうかがっています。
さて,遺言といえば,家族に財産を遺したり,想いを伝えたりするものですが,家族の形も人それぞれです。
中には,家にいる愛犬・愛猫が心配という方もいらっしゃるかもしれません。
お子様は自立して独立した生活を送っていれば心配すべきことは少ないです。
しかし,ペットの場合は,一人暮らしの自分が死んでしまったら誰が面倒を見てくれるのか心配でなりません。
こんな話を聞いたことがあります。
東京でお独りでお住まいの方が,ペットの猫と穏やかな生活を送っていましたが,外出中に脳梗塞で倒れ病院に運ばれてしまいました。
その方は一命は取りとめたものの,しばらく意識が戻りませんでした。
そして,意識が戻られてまず仰られた言葉が
「家に猫がいるから助けてほしい」
でした。
幸いにも,猫は残っていたご飯とシンクの水で生きながらえていて,大事とはなりませんでしたが,このまま意識が戻らなかった場合を考えると背筋が冷たくなります。
このようなリスクはどなたにでも訪れうるものです。
そこで,ペットの法的な扱いと,もしもの時に備えてペットにしてあげられる法的な対策というものをご紹介していきたいと思います。
まず,前提として,民法上,ペットは飼い主の財産・所有物という扱いになります。
ペットは家族だと私も思っているので,この扱いには疑問が残りますが,法律はそうなっています。
したがって,飼い主が亡くなった場合,通常,ペットの所有権は相続人に相続されます。
すなわち,ペットは飼い主の奥様やお子様のものになるということです。
そして,悲しいことですが,ペットの所有権を獲得したからといって,相続人がペットの面倒を見てくれるとは限りません。
法律上もペットの面倒を見る義務というものは発生しないので,そのまま放っておかれても文句を言えません。
そこで,次回は,ペットのためにできることはないかということを紹介していきたいと思います。