1 相続放棄ができない場合は、借金を支払う必要がある。
3か月の期限を過ぎてしまったり、故人名義の預金を引き出してしまったりした結果、相続放棄できないというケースは多くあります。
相続放棄ができないと、借金なども相続してしまい、どうにかしてこれを支払わなければいけません。
借金を支払わないでいると、裁判を起こされたり、故人とは関係のない相続人自身の預金、自宅や給料が差し押さえられるケースもあるため、何かしらの対応が必要です。
プラスの財産があれば、現金化して支払いに充てることもできますが、そのようなケースは稀です。
このようなケースでは、債権者と任意の交渉や、場合によっては、破産などの法的手続きも視野に入れる必要があります。
2 債権者との交渉で分割払い
借金を相続すると一括払いを要求されることが多いです。
もっとも、一括での支払いが難しい場合、各社と交渉をして借金を分割払いにしてもらえる場合があります。
たとえば、総額で240万円の借金がある場合、5年間で60回払にする交渉が成立すれば、240万円÷60回=4万円/月となり、毎月4万円を支払っていけばよくなります。また、交渉次第では、将来の利息をカットできることもあります。
3 自己破産で借金を0に
自己破産は、裁判所の認可により、借金を0円にする手続きです。
手持ちの財産と比較して、借金の方が多い場合は自己破産により借金をなくせる場合があります。
ギャンブルや浪費で作った借金の場合は破産できないケースがありますが、相続で借金を引き継いでしまった場合はそのような問題点も少ないため、比較的に破産手続きはしやすいです。
ただし、自己破産は、手持ちの財産を売却して返済に充ててしまうため、自宅や車など手放したくない財産がある場合は、注意が必要です。
4 個人再生で借金を圧縮して分割払い
個人再生は、裁判所で認可を受け、借金を圧縮して、3年〜5年かけて分割払いをしていく手続きです。
自己破産との違いは、自宅や車など、売却されてしまうと困る財産があるときにも手放さなくて済む点です。
実際に圧縮できる金額は、次の①〜③から一番高い額となります。
①法律で定められた最低弁済額
②借金の総額の1/5
③清算価値(手持ちの財産総額)
例えば、借金の総額が720万円で、手持ちの財産が預金20万円のときは、
①法律で定められた最低弁済額
→100万円
②借金の総額の1/5
→144万円
③清算価値(手持ちの財産総額)
→20万円
となり、一番高い②144万円を毎月4万円を3年間かけて返済していくことになります。
5 まずは弁護士に相談を
借金が返済できない場合の対応方法は色々ありますが、何が最適な方法かはケースバイケースで難しいです。
まずは、弁護士に相談し、現在の状況を踏まえて、一緒に方針を決めていくのが良いでしょう。