相続人と連絡が取れない場合①

1 連絡が取れない場合の対処法
遺産分割のご相談で
「相続人と連絡が取れないのですがどうすればよいですか」
とのご相談を受ける場合があります。
遺産分割など、相続人全員が揃わないとできない手続もあります。
このような手続は、連絡が取れないからと言ってその相続人を無視して手続を行うことはできません。
もっとも、この「連絡が取れない場合」というのも何パターンがあります。
たとえば
①現在の連絡先がわからない場合
②連絡をしても無視される場合
③行方不明の場合
というようなパターンです。
これらのパターンによって対応方法が変わってくるため、今回は①の方法を紹介したいと思います。
2 戸籍をたどって住所を調べる
相続人がいるのはわかっているけれども、長年連絡を取っていないため、住所も電話番号もわからないというケースです。
この場合は、戸籍を遡って住所を調べます。
まず、自分の戸籍から順番に遡り、相続人の戸籍を入手します。
戸籍それ自体には住所は記載されていませんが、戸籍を入手すると、戸籍の附票という書類を取得できます。
この戸籍の附票には、その人の現在の住所が記載されているため、これにより住所が判明するという仕組みです。
3 戸籍の遡り方
戸籍は
・本籍の移動(転籍)
・結婚
・本籍のある市町村の変更
(東京の場合、田無市が西東京市に統合されるなど)
・戸籍の改正
(戸籍法の改正により縦書きのものから、横書きの現在よく目にする戸籍が新たに作られました。改正前の戸籍を「改製原戸籍」といいます。)
等があると、前の戸籍とは別に、新たな戸籍が作られます。
この際
前の戸籍 :「どこの戸籍から抜けてきたのか」
新たな戸籍:「どこの戸籍へ抜けていったのか」
が記載されるため、繋がっている戸籍を辿っていくと親族の戸籍を調べることができます。
4 戸籍を遡る手順
たとえば、一般的なケースとして、結婚している兄が、すでに結婚している妹を探す場合があります。
この場合、一例として、次のように戸籍を遡ります。
(実際には、結婚した年や市町村合併の有無により必要な戸籍の数は変わります。)
①兄の住民票
②兄の現在の戸籍
③兄の改製原戸籍
④両親の戸籍(結婚前の兄妹が記載)
⑤妹の結婚後の改製原戸籍
⑥妹の現在の戸籍
⑦妹の戸籍の附票
5 戸籍の取り方
戸籍は,本籍のある市役所に保管されているため,その市役所でしか取得できません。
先ほどの①~⑦の書類も保管している市役所が異なる場合は,それぞれの市役所で手続をする必要があります。
基本は窓口で申請書を書いて取得することとなりますが,市役所の開いている時間でなければなりません。
また,郵送で申請をすることもできます。
こちらは,市役所ごとに申請の方法がホームページにあるため,そちらをご確認ください。
なお,当法人では相続人の調査も行っておりますため,お困りの際はぜひお問い合わせください。