法定相続情報証明制度の活用

1 法定相続情報証明制度とは

相続手続には、ほぼ必ずと言っていいほど戸籍謄本や住民票除票が必要となります。

銀行預金の解約や不動産の名義変更には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍として、祖父や曽祖父が載っている手書きの戸籍までの提出を求められるため、その数は10通~20通となることもあり大変です。

こういうときに利用できるのが「法定相続情報証明制度」です。

集めた戸籍の束を法務局に提出して申請することで、「法定相続情報一覧図」という1枚(場合によっては数枚)の紙にしてくれます。

これが1枚あれば、大抵の相続手続で戸籍が不要となります。

保険会社、銀行での預金解約、法務局での登記手続きはもちろん、税務署や裁判所でも戸籍の代わりに使うこともできる優れものです。

 

2 法定相続情報一覧図のメリット

法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚の紙にする制度です。

これを作るためには、「いずれにしろ戸籍を集める必要があるのに、何のメリットが?」と思われると思います。

しかし、法定相続情報には、次のようなメリットがあります。

 

① 何通でも作れる

法定相続情報一覧図は、交付申請をすることで簡単に何通でももらえます。

戸籍を、一度、相続手続の窓口に預けてしまうと、返ってくるまで次の相続手続ができません。

しかし、10通以上ある戸籍をもう1セット発行しようとすると、数万円の費用がかかる上、申請手続も10回以上必要になるため難しいです。

しかし、法定相続情報一覧図であれば、簡単に複数通用意ができるため、相続手続をスムーズに行うことができます。

 

② 窓口での手続が早くなる

相続手続では、窓口の担当者は何通もの戸籍を確認して、相続人に間違いがないかを確認します。

そのため、戸籍の確認が終わるまで窓口で待たされたり、場合によっては、手続が後日になってしまうこともあります。

しかし、法定相続情報一覧図は、相続関係を法務局がチェックしてくれているため、窓口の担当者も戸籍のチェックをする時間が必要なくなるため、手続が早く終わります。

 

③ 戸籍集めの間違いがなくなる

出生から死亡までの戸籍を正確に漏れなく集めるのは、専門家でもミスをすることがあるくらいで、とても大変です。

戸籍を全部集めたと思って窓口に行ったところ、戸籍が足りないと言われて出直すことになると、また同じ市役所に戸籍を取りにいかなければならない上、相続手続も最初からやり直しになってしまいます。

しかし、法定相続情報一覧図は、法務局が戸籍に漏れがないかチェックをしてくれるため、いざ相続の窓口で戸籍が足りない!という事態を避けることができます。

 

3 作成の代理は、弁護士などの専門家に

このように便利な法定相続情報一覧図は、相続のすぐの段階でお作りすることをオススメします。

代わりに作成を依頼する場合は、家族などではできず、弁護士などの専門家でないとできないため、ご希望の場合はお気軽にご相談ください。